ホメオパシー新聞その14 ホメオパシーでは死んでいない!

ホメオパシーでは死んでいない!
山口地裁での和解を「ホメオパシーで長女死亡」と事実を捏造して朝日新聞が配信。
12月22日付けasahi.comニュース 社会裁判記事(伊藤和行記者)に報じられた記事について日本ホメオパシー医学協会(JPHMA)よりコメントします。

2010年12月26日、朝日新聞宛てに以下の抗議文書を送付致しました。

2010年12月22日付 asahi.comニュース 社会裁判記事より、以下引用します。

「ホメオパシーで長女死亡」助産師と母親和解 山口地裁

生後2カ月の長女が死亡したのは、ホメオパシーという民間療法をする助産師が適切な助産業務を怠ったためだとして、山口市の女性(33)が助産師を相手取り、約5600万円の損害賠償を求めた訴訟で、助産師側が女性に和解金を支払うことで合意したことが21日、分かった。和解金は数千万円とみられる。

同日、山口地裁で双方の代理人弁護士と裁判官が話し合い、和解が決まった。関係者によると、和解には「内容を口外しない」との条件が含まれており、和解の理由や金額について、双方の代理人は「話すことはできない」と答えた。

訴状によると、女性は2009年8月、この助産師の指導のもと自宅で長女を出産した。しかし助産師は長女に、出血症を予防するためのビタミンK2シロップを投与せず、長女は同年10月、ビタミンK欠乏性出血症による硬膜下血腫を発症して死亡した。

女性は、助産師が、母子手帳にあるK2シロップの投与欄に「投与した」とうその記録をしていたことや、K2シロップを投与しない場合の危険性を説明しなかったとし、「助産師の過失により長女は死亡した」と主張した。助産師側は、K2シロップの代わりに、ホメオパシーで飲み薬のように使われている特殊な砂糖玉「レメディー」を与えていたと説明していた。(伊藤和行)

JPHMAとしては、裁判中であったため、本件に関しては当初からコメントを差し控えてきました。今回、和解が成立し、裁判が終了したため、これまで、あまりに事実とかけ離れた報道が1人歩きしておりましたので、ここに真相を記載させていただきます。これまでの新聞報道の内容は、事実確認も十分行わないまま、そして助産師の言ったことを歪曲して不正確な報道をしたことに端を発します。その後は、おそらく、この報道機関が書いたことの裏付けもとらず、他の報道機関も追随し、間違えた情報をそのまま報道したことで、あたかも事実であるかのようになっていったと考えます。こうして、無実である人が有罪になってしまうこともあるのだということを今回の一連の報道を通して思い知った次第です。

そして、今回も事実無根の報道がなされ、あたかもホメオパシーが原因で亡くなったかのようにホメオパシーは危険であるという印象を世の中の人に与えられることを危惧します。

2010年12月22日、asahi.comニュース 伊藤和行記者
(1)「ホメオパシーで長女死亡」助産師と母親和解
山口地裁「ホメオパシーで長女死亡」と記載されておりますが、この記述は明確に誤りです。

和解は裁判所で判断したのではなく、原告と被告との間で話し合いにより解決されたということであり、死亡の原因ははっきりしておりません。また、本件は、原告(従前からホメオパシー利用者でした)が、ホメオパスの被告に対して、レメディーを与えたことを問題にしているのではなく、ビタミンKの不足によって死亡したと思われることに対して助産師の業務上の責任を問うて起こした訴訟です。訴状にはホメオパシーを原因とするとの記載は一切なく、「ホメオパシーで長女死亡」という記載は、まったくの事実誤認の報道です。

この見出しを人が見た場合、ホメオパシー療法で死亡したと思うことでしょう。多くの人が、ホメオパシーは危険な療法であるというイメージをもつことになってしまいます。しかし、実際のところホメオパシー療法で死ぬことはありません。ホメオオパシーのレメディーは、原物質を高度に希釈しんとう(物質がない程度)したものであり副作用はなく、最も安全な代替療法の1つであるホメオパシー療法を著しく誤解させるものです。

本ホメオパシー医学協会は本件に関してまったくの事実無根な記事として、また医療行為を怠ったとする報道に対して、抗議します。公に伝えることを責務にしている記者は、事実を正確に書く必要があります。このような報道の意図的操作に断固抗議します。

2010年12月22日、asahi.comニュース 伊藤和行記者
(2)同日、山口地裁で双方の代理人弁護士と裁判官が話し合い、和解が決まった。
関係者によると、和解には「内容を口外しない」との条件が含まれており、和解の理由や金額について、双方の代理人は「話すことはできない」と答えた。

今回の和解の条件には「内容を口外しない」が含まれており、原告、被告とも内容に関して、事実を話せない状況にあります。日本ホメオパシー医学協会は、今までのように誤った情報が、ひとり歩きしないように、報道、情報発信する者として、倫理を遵守し、これまでに調査した事実のみに関して、ここに記載させていただくことにしました。

2010年12月22日、asahi.comニュース 伊藤和行記者
(3) 訴状によると、女性は2009年8月、この助産師の指導のもと自宅で長女を出産した。
しかし助産師は長女に、出血症を予防するためのビタミンK2シロップを投与せず、長女は同年10月、ビタミンK欠乏性出血症による硬膜下血腫を発症して死亡した。

原告の訴状においては、「ビタミンK2シロップを投与せず、長女は同年10月、ビタミンK欠乏性出血症による硬膜下血腫を発症して死亡した。」となっておりますが、今回、ビタミンK2シロップをとらなかったことが原因で死亡したという因果関係は認定されていませんし、何故死亡したかの原因は、明確になっておりません。

2010年12月22日、asahi.comニュース 伊藤和行記者
(4)女性は、助産師が、母子手帳にあるK2シロップの投与欄に「投与した」とうその記録をしていたことや、K2シロップを投与しない場合の危険性を 説明しなかったとし、「助産師の過失により長女は死亡した」と主張した。

原告(母親)は 被告(助産師)が、母子手帳にあるK2シロップの投与欄に「投与した」と記録をしていたことについて言及していますが、真相は、助産師は、母子手帳に「K2シロップ投与」と記載しておかないと、検診時に小児科などで勝手にK2シロップを飲まされるので、原告の意向を受けて、K2シロップを「投与した」と記載したものです。 助産師は、K2シロップ投与という記載は、母親の前で、母親の同意をもらって行ったと言及しています。

今回亡くなったのは、第二子であり、第一子の時にもこの助産師が対応していました。 第一子の時は、母親に「何もいらない」と言われたので、ビタミンK2シロップも同様に与えていなかったということです。もちろん、ビタミンK2シロップについての事前に説明も行っておりました。母親は、第一子の時から、(薬などを)何も使用しないで欲しい、と繰り返し述べていたので、助産師は、今回もできるだけ現代医学や薬剤の介入のないお産を望んでいると思っていたとのことでした。

また、今回の訴訟においては、ビタミンK2シロップに関して、助産師から母親への事前説明を行っていたかという点について、双方の主張に争いがありました。

助産師は「ビタミンK2シロップに関してはもちろん理解し、なぜビタミンKを与えるのかという説明の中で、ビタミンKは止血作用があり、頭蓋内出血の予防のために与える」と説明したと述べています。これに対し、母親は、説明を受けたことを覚えていないらしく、今回の訴訟では母親は事前説明がなかったと主張しておりました。助産師は、基本的に、同意が得られなければ、K2シロップを与えないということはなく、今回は投与前に事前に説明をし、母親の了解を得ていたと主張していました。

2010年12月22日、asahi.comニュース 伊藤和行記者
(5) 助産師側は、K2シロップの代わりに、ホメオパシーで飲み薬のように使われている
特殊な砂糖玉「レメディー」を与えていたと説明していた。

助産師は「ビタミンK2シロップの代わりにレメディーを」と言っておりません。

ホメオパシーのレメディーは、ビタミンK2のシロップの代用にはなりません。この点、助産師は明確に理解していました。助産師は、助産院で出産したい依頼を受けた時、妊娠中の健診を通して、ホメオパシーについて十分に説明しておりました。妊娠中・出産中・産後と必要に応じレメディーをとってもらうことも説明し、口頭で了承を得ていたとのことです。

ホメオパシーのレメディーは妊娠、出産時のそれぞれの段階で、自己治癒力を触発するために症状に合わせて使用し、一連の適切なレメディーをとることで、妊娠、出産のサポートを行うものです。「ビタミンK2シロップとらなかったこと」と、「ホメオパシーのレメディーをとったこと」は、全く独立した事象です。

「ビタミンK2シロップとる」かつ「ホメオパシーのレメディーをとる」
「ビタミンK2シロップとる」かつ「ホメオパシーのレメディーをとらない」
「ビタミンK2シロップとらない」かつ「ホメオパシーのレメディーをとる」
「ビタミンK2シロップとらない」かつ「ホメオパシーのレメディーをとらない」
の4つの選択肢があります。

今回のケースは本人の承諾を得て「K2シロップとらない」かつ「ホメオパシーのレメディーをとる」という選択を母親がしたものです。ホメオパシーのレメディーをとるかとらないかは、ビタミンK2シロップをとるかどうかとは全く独立の事象であるにもかかわらず、あえて併記され、「代わり」にという表現が用いられて、ホメオパシーのレメディーをあげたことにより、児が死亡したという、歪曲された報道がなされております。

日本学術会議の報道資料にも「ビタミンKの代わりにレメディーを与えられた生後2カ月の女児が昨年(2009年)10月に死亡し、これを投与した助産婦を母親が提訴したことが本年7月に報道されました」と紹介されています。

しかし、今回説明したように、ホメオパシー利用者であった原告は、ホメオパスの被告に対してレメディーを与えたことを問題にしているのではなく、ビタミンKの不足によって死亡したと思われることに対して助産師の業務上の責任を問うて起こした訴訟であり、それが原告と被告の間で話し合いにより解決されたというものです。

これまでのあまりの事実とかけ離れた報道に対して、日本ホメオパシー医学協会が調査した事実を記載させていただきました。

最後に、亡くなられたお子様に対して、心よりご冥福をお祈り致します。